相続登記(不動産の名義変更)|大阪はる司法書士事務所
更新日: 2022年1月6日
相続登記とは、被相続人が所有していた土地や建物等の不動産の名義を相続人の方へ変更する手続きのことをいいます。
相続登記登記をせずに放置していると権利関係が複雑となり、その結果、遺産分割協議の成立が困難になったり、登記に必要な書類が入手不能になったりと、様々な不都合が生じる可能性があります。
また、2024年4月1日からは相続登記が義務化され、義務に違反した場合は10万円以下の過料の対象となるため、相続登記はできる限り早めに手続きされることをお勧めしています。
相続登記が義務化されます
従来、相続登記は義務ではなく、登記をするかどうかは相続人の方の判断に委ねられていました。
しかし、近年、所有者不明の土地の増加が大きな経済的損失をもたらすだけでなく、災害復興などの公共事業に支障をきたすなど深刻な社会問題となっています。
また登記が放置されている土地のなかには犯罪や倒壊の危険のある空家を抱える土地も少なくありません。
そこで所有者不明の土地や空家問題の抜本的な解決策の一つとして不動産登記法の改正により相続登記が義務化されることになりました。
また所有者不明の土地の発生を防ぐため「相続土地国庫帰属法」が制定され、相続等により土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けてその土地の所有権を国庫に帰属させることができる「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。
さらに所有者不明土地・建物の管理の効率化を図るなど積極的な土地利用を図るため民法の一部が改正されました。これにより所有者不明の土地の発生予防と事後利用に焦点を当てた大胆な改正が行われました。
改正ポイント
① 不動産登記法の改正による相続登記の義務化と相続人申告登記の創設・住所変更等登記の義務化
② 相続又は遺贈により望まぬ土地を取得した者が一定の要件のもと、土地を手放すことができる「相続土地国庫帰属制度」の創設
③ 民法改正により相隣関係や共有、財産管理制度、相続制度の見直しによる、既に発生している所有者不明土地の利用の円滑化の促進。
不要な土地を国が引き取ってくれる!? 相続土地国庫帰属制度
相続土地国庫帰属制度とは法務大臣の承認を受けて、相続又は遺贈により土地の所有権を取得した相続人が、土地を手放して国庫に帰属させることができる制度のことで、2023年4月27日から運用が開始します。
申請ができるのは、相続等により土地(共有持分)の全部又は一部を取得した者などで、法務局に手数料を納付して申請を行うことになります。
ただし、申請をしたからといって全ての土地を国が引き取ってくれるわけではありません。
下記の10項目すべてに該当しないことが承認(引き取り)の要件となります。
【承認の要件】
いずれの項目にも該当しないこと
① 建物の存する土地
② 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
③ 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
④ 土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地
⑤ 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
⑥ 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
⑦ 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
⑧ 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
⑨ 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
⑩ 上記のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの
承認を受けた者は10年分の土地管理費用相当額の負担金の納入が必要になります。負担金を納付すると、その土地は国庫に帰属することになります。
不動産の名義人となっている方が亡くなられ相続が開始したが、遺産分割協議や所有権移転登記(相続登記)をしない間に、相続人が死亡してしまい、遺産が未分割のまま第2、第3の相続が開始した状態を、実務上「数次相続」といいます。
相続登記には期限がなく、放置していてもペナルティが科せられないことから相続関係の手続きの中で後回しにされがちで、相続登記をしないうちに、相続人が亡くなってしまうことがあります。
私自身もこれまでご依頼いただいた中に数次相続が発生している案件がいくつかありました。
ここでは解決事例を通して、数次相続が発生した場合の相続手続きについてご説明します。
解決事例① 相続登記がないために空き家となった実家を放棄できない。
解決事例② 相続財産管理人と相続人の共有
解決事例③ 相次いで相続人が亡くなられたケース
数次相続における相続登記
相続登記手続きの流れ
遺言書がある場合とない場合とでは、相続登記の手続き内容や必要書類が異なってきます。そのため、相続が発生したらまず遺言書が残されていないか、徹底的にチェックする必要があります。公正証書で作成された遺言書であれば、検索システムを利用して探すことができます。
公正証書以外の遺言が発見された場合は、開封せずに家庭裁判所へ提出し検認手続きをとる必要があります。
亡くなられた方の出生から死亡まで連続した戸籍(戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍)を取り寄せて、相続人を割り出します。
「誰が」「どれだけ」相続するかは民法で定められていますので、民法の規定に従って法定相続人を確定します。
相続財産は正確に調査する必要があります。相続財産の調査を怠ると、遺産分割協議に支障をきたし、深刻なトラブルへ発展しかねません。とりわけ不動産は財産価値が高い財産なので、漏れなく調査する必要があります。 不動産の調査方法としては、市役所で固定資産課税台帳(名寄帳とも言います)を取得する方法があります。
遺言書がない場合、誰が何を相続するかについて遺産分割協議を行います。この遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、相続人のうち一人でも欠けると協議が無効となります。また相続人の中に、未成年者や認知症の方、行方不明の方などがいる場合は代理人等を選任する必要があり、その代理人を含めて分割協議を行うことになります。
遺産分割協議がまとまれば、分割内容をまとめた書面(遺産分割協議書)に、相続人全員が署名・押印し、必要書類を添付して、不動産を管轄する法務局へ相続登記の申請を行います。登記申請から完了までの期間は、法務局により異なりますが、概ね1週間程度となっています。
相続登記完了後、不動産の売却を検討中の方には提携の不動産業者をご紹介させていただきます。お気軽にご相談ください。
相続登記の費用
報酬(税込) | 実費 | |
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相続登記 (戸籍収集・相続関係図作成含む) |
6万円(申請1件) ※2件目以降は、不動産1件につき3万円を加算 |
戸籍(戸籍 450円 除籍・原戸籍 750円 戸籍の附票 300円) 登録免許税(固定資産評価額の0.4%) |
抵当権抹消登記 | 1万円 | 登録免許税(不動産1個につき1000円) |
遺産分割協議書作成 | 2万円 |
当事務所では戸籍の収集から遺産分割協議書、法務局へ提出する登記申請書類の作成・提出まで、専門性を要する相続登記の手続きをすべて代行します。また、相続された不動産の売却をご検討中の方には、提携の不動産業者をご紹介させていただきますので、一つの窓口で、相続登記から相続不動産の売却までご依頼いただけます。お気軽にご相談ください。