法的知識が必要となる手続きは専門家にご相談ください。
相続手続きの中には、法的な専門知識が要求されるものもあれば、期限が設けられている手続きもあり、相続人の方が独自の判断で手続きを行った場合は、取り返しのつかない結果を招くこともあります。 ご家庭の相続に必要な手続きを確実に行うためにも、下記に挙げる手続きについては、法律の専門家に依頼されることを強くお勧めします。
- 不動産の名義変更(相続登記)
- 相続放棄・限定承認(借金がある場合の相続手続き)
- 預貯金・株券の名義変更
- 故人の準確定申告
- 相続税の申告
不動産の名義変更(相続登記)
相続により不動産の所有権その他の権利が相続人に移転した場合には、相続を登記原因とする権利の移転登記、すなわち被相続人から相続人への名義変更をすることになります。これを一般に相続登記といいます。
相続登記は、戸籍謄本等の必要書類の収集作業から法務局に提出する登記申請書類の作成等、手間と時間がかかる手続きです。 また、相続財産の大半が自宅不動産の場合には、不動産の売却や、あるいは分筆登記など、専門性を要する煩雑な手続きが加わることになり、相続人の方がご自身でなさるには負担が大きく、ときとして不利益を被る場合もあります。
当事務所では相続登記はもちろんのこと、そ相続後の売却まで一括して代行させていただきますので、安心してご依頼いただけます。
相続放棄・限定承認(借金がある場合の相続手続き)
亡くなられた方に借金や保証債務などの負債があった場合、相続放棄をしない限り、相続人の方は借金を返済する義務を負うことになります。
相続放棄は、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行わなければならず、3ヶ月という期間を過ぎた場合は、相続放棄をすることができなくなる可能性があります。また、相続放棄の前後を問わず、相続人の方が相続財産の一部でも処分する行為を行うと、相続放棄をすることができなくなったり、相続放棄の効力が否定されたりします。さらに、相続放棄後に資産が見つかった場合であっても、一度なされた相続放棄は撤回することができないため、資産の承継をあきらめなければならなくなります。
そのため、相続放棄を検討される場合には、相続財産の調査を遺漏なく入念に行う必要があり、なおかつ相続開始から3ヵ月という短期間で相続財産の調査を完了させる必要があります。また、どんな行為が「相続財産の処分行為」に該当するのかという専門知識も必要となります。このように相続放棄は3ヵ月という期間制限と法的知識が要求される複雑な手続きといえ、相続人の方が独自の判断だけで手続きを行うと、思わぬ不利益を被る危険性があります。
当事務所にご依頼いただければ、相続放棄に必要な財産調査や必要書類の収集から相続放棄申述書の作成、照会所への対応や、次順位の相続人の方への報告まで相続放棄にかかわる手続を徹底サポート致します。また、借金の状態や種類によっては相続放棄をしなくてもいい場合もありますので、まずはお問い合わせください。3ヵ月経過後の相続放棄についても、お気軽にご相談ください。
預貯金の名義変更
預貯金は、亡くなった時点から相続財産となるため、一部の相続人が勝手に引き出すことは他の相続人の権利を侵害することになります。そのため、銀行などの金融機関は、口座名義人の死亡の事実を知らされると、預貯金口座を凍結し、所定の手続きを取らない限り、預金の払い戻しや引き出しに応じないよう措置を講じます。
口座凍結を解除するためには、戸籍や相続人全員の印鑑証明書などの他、各金融機関ごとに所定の書類を提出する必要があり、書類の収集だけでも時間や手間がかかります。
また、昨年12月に最高裁は「預貯金は遺産分割の対象となる」と判示し、従来、預貯金は遺産分割の対象とならず、相続開始と同時に法定相続分に応じて当然に分割されるとされてきた判例が変更されました。これを受け、銀行などは、遺産分割協議が成立しない限り、預金の払い戻しに応じないという取扱いがなされる可能性があり、預貯金の解約や名義変更については、遺言書がない限り遺産分割協議書の提出が必要となります。
当事務所にご依頼いただければ、戸籍の収集から、各銀行所定の書類の収集・作成、遺産分割協議書の作成まで、預貯金の解約あるいは名義変更に関わる一切の手続きを代行させていただきます。また、どの金融機関に口座があるかわからない場合や、残高が不明な場合などは、亡くなられた方の居住地付近にある金融機関に対して口座照会や残高照会を行うこともできますので、まずはご相談ください。
休眠預金はございませんか?
相続財産の対象となる預金の中には、相続人の方が気づかない「休眠預金」が含まれていることも少なくはありません。
休眠預金とは、金融機関に預金として預け入れたまま、長期間、口座からの引き出しや、預け入れなどの取引がなく、預金者本人と連絡がつかないものをいいます。
全国の休眠預金は、毎年700億円以上も発生するといわれており、そのうち5割程度が銀行の利益となっているそうです。
そもそも、銀行預金は、法律上、銀行で5年、協同組合では10年が経過すれば時効により消滅します。
つまり、5~10年、口座の出し入れがない預金は、時効により銀行等の収入となってしまうことになります。
もっとも、実務上は、時効期間が経過した後も、預金者や、その相続人から請求があれば払い戻しに応じてくれますが、実際に休眠預金の払い戻しを請求するのは5-6割程度にとどまるとされ、残りは銀行等の利益として計上されることになります。
今年の1月に施行された「休眠預金等活用法」は、休眠預金を最終的に銀行等の利益とするのではなく、民間の公益活動に活用しようとするもの。
この法律では、「2009年1月1日以降、10年以上、入出金がない預金」が対象になり、休眠預金は「預金保険機構」に移されて、その後内閣総理大臣が指定した指定活用団体が、民間のNPO法人などに助成・貸付を行う仕組みとなっています。
ただし、休眠預金とされても、従来通り、預金者やその相続人による払い戻し請求は可能です。あくまでも、銀行等の利益として計上されていた部分を公益活動に充てようというものなので、相続時には、相続財産に休眠預金がないかも忘れずに調査するようにしましょう。
はる司法書士事務所では、相続手続きの一環として、被相続人名義の休眠預金の調査の依頼も承っております。お気軽にご相談ください。
故人の準確定申告
確定申告が必要な人が年の途中で亡くなった場合には、相続人の方が代わりに「1月1日から死亡した日まで」の所得を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に申告・納税しなければなりません。これを準確定申告といいます。
相続税の申告
相続税の申告、あるいは延納・物納の申請は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。期限までに申告・納税が出来なければ、ペナルティとして延滞税と加算税といった税金が追加されることになりますので注意が必要です。 なお、10ヶ月以内に遺産分割協議がまとまらない場合は、配偶者の税額軽減や居住用宅地の特例といった相続税の優遇措置が受けられなくなります(その後3年以内に遺産分割協議がまとまれば相続税の還付申告は可能ですが、二度手間となります)。
当事務所では、相続人の確定から相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、相続財産の名義変更までを司法書士が担当し、準確定申告や相続税の申告が必要な場合には、提携の税理士をご紹介させていただきます。もちろん、窓口は一つで、相続手続きから相続税の申告までワンストップでサービスをご提供させていただきますので、安心してご相談いただけます。