被相続人の方が外国籍の場合の相続登記

日本に不動産を所有する外国籍の方が亡くなられた場合、誰が相続人となるか、あるいはその順位や相続分など相続に関する事項は、被相続人の本国法が適用されるのが原則ですが、本国法により、日本法によるべき、とされている場合には我が国の法律が適用されることになります。これを「反致」といいます。

       
国籍別に見る相続において適用される法律
韓国原則として、韓国法が適用されるが、遺言により相続準拠法を日本法と指定することができる。
韓国籍の方の相続登記の詳細
中国 中華人民共和国法によれば、不動産の相続については、不動産所在地法を適用するとされているため、日本に不動産を有する中国人の方が亡くなられた場合には、我が国の民法が適用されることになる。
台湾台湾法(中華民国民法)が適用される。
アメリカアメリカは、州ごとに法律が異なるいわゆる不統一法国家であるため、被相続人がアメリカ国籍の場合、いずれの州法を本国法とすべきか、が問題となるが、一般的には、アメリカの各州において遺言が存しない場合には、土地の相続に関しては、その所在地法によるとされている。したがって、我が国に不動産を所有するアメリカ国籍の方が亡くなられた場合には、不動産所在地法である日本民法が適用されると解して差しさえがないと考えられている。

相続登記に必要な書類

日本国内に不動産を所有する外国籍の方が亡くなられた場合の相続登記であっても、日本の法律が適用されるため、日本人が当事者となる場合と特に異なることはありません。ただし、台湾以外は戸籍制度を有していないため、戸籍に代わって、相続関係を証明する書類として下記のものを提出する必要があります。

韓国①被相続人の除籍謄本(出生から2007年12月31日まで)
②被相続人の基本証明書と家族関係証明書
③相続人全員の基本証明書と家族関係証明書(相続人が日本国籍の場合は戸籍謄本)
中国中国国内の公証員が作成した公証書を提出します。この公証書には、父母の氏名、本人の生年月日、続柄、出生地等の情報並びに本人が日本の配偶者と婚姻するまで、独身であったこと、他に婚姻外の子がいないことなどを記載する必要があります。
台湾台湾には戸籍制度があるので、台湾の戸籍を請求し、取得する必要があります。
取得の方法としては
①台北駐日経済文化代表処で授権書を作成し、署名・押印します 
②授権書を台湾に居住する代理人(親族や知人)へ送付 
③代理人が戸籍を取得 
④台湾の公証人による戸籍の認証を受けます 
⑤台湾の外交部において公証を受けた戸籍の験証を受けます 
⑥台北駐日経済文化代表処で上記戸籍の験証を受けます
アメリカ死亡証明書や出生証明書、婚姻証明書等がある場合は、これらを提出し、不足する部分については、宣誓供述書を作成し、本国の公証役場あるいは日本のアメリカ大使館で認証をうけたものを相続関係書類として提出します