【韓国籍の相続登記の解決事例】韓国戸籍の一部と住民票が取得できなかったケース

相談内容

韓国籍の父親Aさんが亡くなり、父親所有の不動産について相続登記をしてほしいとの依頼を受けました。


相続登記の必要書類

亡相続人は、妻Bさんと長男Cさん、次男Dさん、長女Eさんの4人。うち長男Cさんと次男Dさんが帰化をされています。

今回のケースのように相続人が配偶者と子で相続を承認する場合は、相続人の範囲について日本法と韓国法では違いはありません。

また、相続登記に必要となる書類についても日本国籍の場合と同様
①被相続人の出生から死亡までの戸籍
②被相続人の住民票除票
③相続人の現在戸籍
④遺産分割協議書
⑤相続人全員の印鑑証明書
⑥不動産を取得する相続人の住民票
⑦固定資産評価証明書
が必要となり、韓国語で書かれたものについては日本語訳を添付する必要があります。


①被相続人の出生~死亡までの戸籍

韓国の戸籍制度は2007年12月31日に廃止され、新たに家族関係登録制度がスタートしたことから、被相続人が2007年12月31日以前に亡くなられた場合は除籍謄本を、2008年1月1日以降に亡くなられた場合は、除籍謄本と5種類の家族関係登録簿(家族関係証明書、基本証明書、婚姻関係証明書、入養関係証明書、親養子入養関係証明書)により出生から死亡までの戸籍とします(家族関係登録簿についてはこちら)。

②被相続人の住民票除票

被相続人の方が亡くなられたのが、平成24年7月9日以降であれば住民票が作成されていますが、住民票は5年で廃棄処分されるので(令和元年6月20日以降は、保存期間が150年まで伸長されています)、5年以上前に亡くなられている場合は住民票除票を取得できない可能性があります。


③相続人の現在戸籍

相続人の方が韓国籍の場合は、家族関係登録簿のうち家族関係証明書と基本証明書を、帰化されている場合は、帰化の記載のある日本の戸籍から現在戸籍までを提出します。


今回のケース

今回のケースでは、被相続人Aさんの父が亡くなられた後に法定分家になっていたり、前々戸主の名前の読みがわからず検索できないとの理由でそれ以前の戸籍が発行されなかったりと、戸籍に不備、およびわかりにくさがありました。
前々戸主の名前については、私自身も読めなかったこと、再度違う担当に戸籍請求したものの同様の理由で戸籍が発行されなかったことから、それ以前の戸籍の取得は断念し、代わりに相続人全員から、前々戸主の読みがわからいことから一部戸籍が発行されず添付不能であること、および他に相続にはいない旨の上申書を作成し、これを提出しました。

また、被相続人の住民票除票についても、保管期間切れか、そもそもその住所地に存在していたのかも判然としないため廃棄証明書を発行してもらえませんでした。

韓国籍の方の場合、韓国に死亡届をだしていないケースも多く、この場合、戸籍には死亡の記載はのってきません。
今回のケースでも韓国に死亡の申告がなされていなかったので、戸籍に死亡の記載がなかったため、死亡を証する書面として死亡届の写し(死亡届出書記載事項証明書)を添付しました。

死亡届には最後の住所地も記載されてきますが、登記簿上の住所地と異なっていたため、登記簿上の人物と被相続人の同一性を証明するため、登記簿上の住所地と最後の住所地が記載された閉鎖外国人登録原票に、相続人全員からの上申書を添付して提出しました。

相続登記は問題なく完了し、業務終了となりました。

はる司法書士事務所は韓国籍の方の相続手続きに力を入れています。

日本国籍の方の相続手続きと司法書士報酬は変わりません。お気軽にご相談ください。