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遺言書作成

相続争いを未然に防ぐ遺言書の書き方

日ごろから兄弟姉妹の仲が悪かったり、資産が不動産などの分けにくい財産である場合や、内縁関係の配偶者など相続人以外の方に遺産を残したい場合などは、相続人間、あるいは相続人と内縁関係の配偶者との間で争いが生じることが予想されますので、遺言書の作成にも工夫が必要となります。

遺言書があっても遺産分割協議が必要となる場合

遺言書が相続争いを回避できる有効な手段とされているのは、相続争いが多発する遺産分割協議を省略することができるからです。 しかし、遺言書が残されていても、下記のような遺言書であれば、遺産分割協議が必要となってしまいます。

①相続財産の一部にしか記載がない

例えば「自宅を長男に相続させる」など、相続財産の一部にしか記載がない場合は、残りの財産について遺産分割協議が必要となります。

②相続分の割合だけが指定がされている

例えば「長男に遺産の3/4、次男に遺産の1/4を相続させる」といった相続分の割合だけが定められている場合は、遺言により指定された相続分(これを指定相続分といいます)に応じて、具体的にどの財産を誰が取得するかについて遺産分割協議が必要となります。


遺言書があっても相続人全員の協力が必要となる場合

不動産や預貯金の名義変更手続きは、遺言書があれば、遺言により財産を承継する相続人が単独で手続きを進めることができます。しかし、下記のような場合、遺言執行者が指定されていなければ、手続きを行うに際し、相続人全員の協力が必要となります。

①「遺贈する」と記載されている

相続人の一人に特定の財産を承継させる場合、「遺贈する」ではなく、「相続させる」という文言が使用されていれば、その相続人が単独で相続登記や預貯金の解約手続きを行うことができます。これに対し、「遺贈する」と記載されていると、遺言執行者が指定されていない限り、他の相続人全員の協力がなければ登記などの手続きを進めることができなくなります。

②相続人以外の方への遺贈があるのに遺言執行者を指定していない

内縁の配偶者など相続人以外の方に遺産を残すときは、遺言執行者を指定する必要があります。遺言執行者がいれば、相続人の関与なしに遺言執行者が単独で登記などの手続きを進めることができます(金融機関によっては相続人全員の署名を要求されることがあります。)これに対し、遺言執行者がしていなければ、相続人全員の協力が必要となり、両者の間に感情的なしこりがあれば、手続きに協力してもらえない危険性もあります。


相続争いを未然に防ぐ遺言書のポイント

相続争いを回避し、円滑に遺産承継を進めるには、下記の事項に留意して、遺言書を作成する必要があります。

①すべての財産について、誰に何を取得させるかを明確に記載する

遺言があっても遺産の一部しか指定していない場合や「○○に全財産の3分の1を相続させる」と遺産分割について割合で指定されている場合などは、遺産分割協議が必要となり、相続争いを回避させ、かつ相続手続きを簡略化させるという遺言の利点をいかすことができません。
そこで、遺産分割協議を省略させるためには、財産を特定して記載し、かつ全ての財産を網羅する必要があります。具体的には、土地は、所在・地番・地目・地籍を、建物は、所在・家屋番号・種類・構造・床面積を記載し、 預金は、金融機関名・支店名(○○銀行○○支店にある遺言者名義の預金)を明記し、記載漏れを防ぐため独立の条を設けて、「その他一切の財産は○○に相続させる」等の文章を書いておくと遺言書に記載されていない財産、あるいは書き忘れた財産の全てが相続されることになります。

②相続人に遺産を承継させる場合は「相続させる」と記載する

特定の財産について「相続させる」と記載されていれば、当該財産について指定された相続人は、遺産分割協議等の手続きを経ることなく、遺言者の死亡と同時に財産を承継することができ、また不動産を取得する場合には、単独で所有権移転登記の申請を行うことができます。

③相続人以外の方に遺贈するときは、遺言執行者を必ず指定する

遺言執行者が指定されていれば、相続人全員の協力を必要とすることなく、登記手続きなどを行うことができます。

④受遺者や指定相続人が先に死亡した場合に備えて予備的遺言を書いておく

民法において遺贈は、「遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。」と規定されています。また,特定の相続人に「相続させる」旨の遺言においても,判例では,推定相続人が遺言者より先に亡くなった場合,その推定相続人の代襲者やその他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情がない限り遺言の効力を否定しています。
そのため、受遺者や指定相続人が、遺言者よりも先に、ないしは同時に死亡した場合には、その者に対し遺贈/相続させるという遺言の効力は失われ、財産の行方は法定相続人間の遺産分割協議に委ねられることになり、話し合いが難航すれば、骨肉の争いに発展する可能性もあります。そこで、このような無用な争いを避けるため、遺言書を作成する場合には、受遺者/指定相続人が自分よりも先に死亡する事態を想定して予備的遺言を付加させることが考えられます。

予備的遺言記載例
遺言者は、遺言者が所有する次の不動産を長男山田太郎(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
なお長男太郎が遺言者の死亡以前に死亡または相続放棄をした場合は、本条により長男太郎に相続させる財産を、長男太郎の子山田春飛(平成〇年〇月〇日生)に遺贈する。

⑤遺留分に配慮する

兄弟姉妹以外の法定相続人には遺留分という最低限相続できる権利が認められています。例えば、相続人として2人の子どもがいる場合に、そのうちの一方にだけすべての財産を相続させる遺言のように、遺言の内容が他の相続人の遺留分を侵害する場合には、他の相続人は遺留分をよこせ、と遺留分減殺請求権を行使して紛争になることがあります。
そのため、遺言書を作成する際には、原則として各相続人の遺留分を侵害しないような内容にしておく必要があります。もっとも、家業を特定の相続人に承継したいなど、どうしてもその他の相続人の遺留分を侵害してしまうケースも否定できません。そこでこのような場合には、あらかじめ他の相続人に遺留分を放棄してもらったり、または生命保険や養子縁組を利用して、遺留分を少なくする対策を講じることが考えられます。

⑥家族への最後のメッセージである付言事項を書いておく

付言事項自体には法的拘束力はありませんが、遺言内容についてのご自身の想いや、家族に対する愛情や感謝などのメッセージを書き残すことで、相続人間の感情的な対立を緩和させる抑止効果が期待できます。

付言事項記載例

妻花子と3人の子どもに恵まれ幸せな人生を送ることができました。
本当にありがとう。
花子には本人の希望もあり、二人で築いた住まいの土地と建物を残すことにしました。
この土地と建物だけで遺産の2分の1を超えてしまいますが、いずれは子どもたちに引き継がれる大切な財産です。
決してお母さんに対して遺留分を請求することがないよう
仲良く相続してくれることを切に願っています。



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