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韓国国籍の方の相続放棄

韓国籍の方の相続放棄には韓国法が適用されます。

亡くなられた方が韓国国籍であっても、日本に居住し、債務が日本にあれば、日本の家庭裁判所で相続放棄の手続きをすることができます。ただし、相続手続きには韓国民法が適用されることから、叔父や叔母、いとこなども相続放棄をする必要があります。

相続放棄による相続順位

第1順位 直系卑属

韓国民法では直系卑属が第1順位の相続人とされ、被相続人の子がすべて相続放棄をした場合であっても、孫がいれば、孫が本位相続するため、孫も相続放棄をする必要があります。
上図では、第1順位の配偶者B、子Cだけでなく、孫Dも相続放棄をする必要があり、Dが相続放棄をして初めて第2順位の直系尊属に相続権が移ることになります。
なお、子Cが被相続人Aよりも先に死亡している場合は、子Cの配偶者は代襲相続人となりますので、この場合は子の配偶者も相続放棄をする必要があります。


第2順位 直系尊属

直系卑属全員が相続放棄をすれば、第2順位の父母や祖父母などの直系尊属が相続人になるため、相続放棄をする必要があります。


第3順位 兄弟姉妹

被相続人よりも前に兄弟姉妹がなくっている場合は、兄弟姉妹の配偶者と、その子(甥姪)は代襲相続人となりますので、相続放棄をする必要があります。


第4順位 4親等以内の傍系血族

日本の民法では、第3順位の兄弟姉妹が相続放棄すれば、手続きは終了となりますが、韓国の民法では叔父叔母やいとこなど四親等以内の傍系血族も第四順位の相続人となるため、この者も相続放棄をする必要があります。

なお、被相続人が生前、「私の相続については日本の法律を適用する」旨の遺言書を残していた場合は、相続放棄についてもに日本の民法が適用されることになるので、この場合は四親等以内の傍系血族は相続人とはなりませんので、相続放棄をする必要はありません。被相続人が帰化されていた場合も、同様です。


相続放棄の期限

日本の民法と同様、韓国民法でも、相続の開始があったときから3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きをしなければなりません。
問題は、3ヶ月経過後の相続放棄の可否です。

日本では、相続財産が全くないと信じるに相当な理由がある場合には、「相続財産の全部もしくは一部の存在を認識した時」を起算点として、3ヶ月経過後の相続放棄を認める措置がとられていますが、韓国では例外は認められておらず、3ヶ月の起算点について「相続発生の事実と自己が相続人であることを知った日」と厳格に解されています。
そのため、例え3ヶ月経過後に債務超過である事を知ったとしても相続放棄をすることはできません。

ただし、債務超過である事実を重大な過失なく知らなかった場合は、3ヶ月経過後であっても、債務超過の事実を知ったときから3か月以内であれば、限定承認をすることはできます


第1019条  相続人は相、相続開始のあったことを知った日から3箇月以内に、単純承認もしくは限定承認、または放棄をすることができる。ただし、その期間は、利害関係人または検事の請求によって、家族法院が、これを延長することができる。
② 相続人は、第1項の承認または放棄をする前に、相続財産を調査することができる。
③ 第1項の規定にかかわらず、相続人は相続債務が相続財産を超過する事実を重大な過失なしに第1項の期間内に知ることができずに単純承認(法定単純承認を含む)をした場合にも、その事実を知った日から3箇月内に限定承認をすることができる。
日本の民法との違い
3ヶ月経過後は、相続放棄をすることはできないが、債務超過の事実を重大な過失なく知らなかったときは、債務超過の事実を知ったときから3か月以内であれば限定承認をすることはできる。
限定承認とは
限定承認とは、取得すべき相続財産の範囲で被相続人の債務を負うことをいい、相続放棄同様、相続開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所で手続きをしなければならないのが原則です。

ただし、韓国の民法では、債務超過である事実を重大な過失なく知らなかった場合は、3ヶ月経過後であっても、債務超過の事実を知ったときから3か月以内であれば、限定承認をすることができるとする「特別限定承認制度」が設けられています。

この他、日本の民法では、限定承認は相続人全員で行う必要があるのに対し、韓国民法では「相続人が数人あるときは、各相続人はその相続分に応じ、取得すべき財産の限度において、その相続分に応ずる被相続人の債務と遺贈を弁済することを条件に相続を承認することができる」と規定し、相続人が単独で限定承認することを認めています。
・3ヶ月経過後に債務超過の事実を知ったときは、その時から3か月以内であれば限定承認をすることができる。
・限定承認は、各相続人が単独で行うことができる。


相続放棄の期間伸長

日本国内だけでなく、韓国にも資産や負債があるなど、相続財産の調査に時間を要する場合は、日本法と同様に、相続放棄の期間を伸長してもらうよう家庭裁判所へ申立てを行うことができます。
これを「相続の承認又は放棄の期間の伸長」といい、被相続人の最後の住所地にある家庭裁判所へ申立てを行います。

申立てを行えるのは、相続の開始があったときから3か月以内の熟慮期間内で、申立書の他、①被相続人の住民票と基本証明書、家族関係証明書、②申立人の基本証明書と家族関係証明書、帰化をされている場合は現在戸籍、③申立人が帰化をされている場合は、被相続人の家族関係証明書からは、申立人が被相続人の相続人であることはわからないので、被相続人の除籍と帰化の記載のある日本の戸籍(除籍)などが必要となります。


相続を承認したとみなされる行為(法定単純承認)

韓国民法でも、下記のような行為があれば、相続を承認したとみなされ、以後、相続放棄や限定承認をすることはできなくなります。
①相続財産を処分する行為をしたとき
②相続開始を知ったときから3か月以内に相続放棄や限定承認をしなかったとき
③相続放棄や限定承認後に、相続財産を隠蔽・不正消費・故意に財産目録に記入しなかったとき

①相続財産を処分する行為をしたとき
日本の民法同様、韓国民法でも、相続人が相続財産の一部でも処分したときは、単純承認したもの(相続したもの)とみなされ、以後、相続放棄や限定承認をすることができなくなります。 単純承認とみなされる処分行為には、売買や譲渡などの法律行為だけでなく、家屋の取り壊しなどの毀損・破棄といった事実行為も含まれます。
ただし、日本の民法とは異なり、相続放棄・限定承認後に相続財産を処分しても、それが不正消費にあたらなければ、単純承認をしたとはみなされず、相続放棄・限定承認の効力は否定されません。

②相続開始を知ったときから3か月以内に相続放棄や限定承認をしなかったとき
例外として、特別限定承認制度があります。
特別限定承認制度では、例え、相続人が相続財産を処分した場合であっても、債務超過の事実を重大な過失なく知らなかった場合は、債務超過の事実を知ったときから3か月以内であれば限定承認することができるとされています。

③相続放棄や限定承認後に、相続財産を隠蔽・不正消費・故意に財産目録に記入しなかったとき
不正消費とは、正当な事由なく相続財産を費消することにより、その財産的価値を喪失させる行為をいいます。
相続放棄・限定承認後であっても、不正消費に該当する行為を行えば、単純承認したとみなされ、相続放棄・限定承認の効力が否定されることになります。


管轄裁判所

在日韓国人の方が亡くなられた場合、韓国と日本、どちらの家庭裁判所で相続放棄の手続きをとらなければならないのでしょうか。

相続債務が日本にあれば、相続財産の所在地国に国際裁判管轄権が認められるので、日本の家庭裁判所で相続放棄の手続を行うことができます。

この場合、日本の家庭裁判所おいて、韓国法を適用して相続放棄の受理が行われます。
なお、相続放棄について日本法の適用を望まれる場合は、「相続については日本法を適用する」との相続における準拠法を指定した遺言書を作成しておく必要があります。

では、日本における相続放棄の効力は、韓国内で認められるかについては争いがあります。

まず、韓国国内にある不動産の相続登記については、日本に居住する相続人の一人が、日本の家庭裁判所において行った相続放棄の効力を認める先例があります。

一方、韓国国内の金融機関では、日本で行った相続放棄の効力を認めた例がないことから、韓国国内にも債務がある場合は、韓国の家庭裁判所に対し相続放棄の手続きをとる必要があるといえます。

なお、韓国内に住所がない場合は、ソウルの家庭法院で手続きを行うことになります。


必要書類

①被相続人の除籍謄本(出生から2007年12月31日まで)
②基本証明書と家族関係証明書(2008年1月1日以降)
③相続人が韓国国籍の場合は、基本証明書と家族関係証明書
④相続人が日本国籍の場合は、現在の戸籍謄本
⑤相続人のなかで死亡されている方がいる場合で、韓国に死亡届を出していない場合は、韓国の戸籍には死亡の事実は記載されません。
この場合は、閉鎖外国人登録原票が必要となります。
⑥韓国語で書かれた書類については翻訳文が必要。

相続放棄の費用

報酬(税別) 実費
韓国国籍の方の相続放棄申述書の作成
1人目:3万円
2人目以降:お1人につき2万円
※期間伸長の申立てはお一人2万円 
申立費用:収入印紙800円・切手代(82円切手×5枚、10円切手×5枚)
戸籍(戸籍 450円 除籍・原戸籍 750円 住民票 300円)韓国戸籍・家族関係証明書など(1通110円)
翻訳代として1万~2万円必要
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