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未成年者がいる場合の相続解決事例

認知した未成年の子の母親が外国籍だったケース

相談内容

お父さんが亡くなり、父親所有の不動産について相続登記をしてほしいとの依頼を受けました。
相続人は、お母さんとお子さん2人、そして被相続人が生前に認知した未成年のお子さんの4名で、不動産についてはお母さんが取得することで相続人全員の合意を得ているとのこと。
ただ、認知した未成年の子の母親が中国籍であることを理由に、他の司法書士事務所で対応できないと断られたため、当事務所にご相談にこられました。


相続人に未成年者がいる場合

未成年者は行為能力が制限されているため、法律行為をするには法定代理人の同意が必要です。
遺産分割協議も法律行為のひとつなので、法定代理人が未成年者に代わって遺産分割協議に参加し、協議書に署名押印する必要があります。

通常、未成年者の代理人になるのは法定代理人である親権者ですが、相続において被相続人の配偶者と子は共に利害が対立する関係にあります。そのため親権者が未成年の子を代理して遺産分割協議を行うことは利益相反行為として許されず、子のために特別代理人を選任するよう家庭裁判所へ申立てなければならないとされています。

ただし、今回のケースのように親権者自体が相続人にならない場合や、親権者が既に相続放棄をしている場合には、親と子の利害は対立しませんので、親権者が未成年者を代理して遺産分割協議を行うことになります。



親権者が未成年者の代理人になる場合に必要な書類

親権者が未成年者を代理する場合、相続登記の申請に際し、親権者であることを証明する戸籍謄本を提出する必要がありますが、今回のケースでは、親権者である母親は中国籍であることから、親権者であることを証する書面として、どのような書類が必要かが問題となります。

中国には、日本のような戸籍制度がないので、親子関係を証明するには、中国国内の公証処(日本の公証役場のようなもの)の公証人が作成する出生公証書を取得するのが原則です。

ただ今回のケースでは、未成年の子は、婚姻関係にない日本人男性と中国人女性との間に生まれた子です。

日本と中国は共に父母両血統主義を採用しており、父母のいずれかが自国民であれば、子に自国国籍が付与されます。とすれば、日本人と中国人との間に生まれた子は、出生と同時に、日本国籍と中国国籍の両方が与えられる(二重国籍となる)ようにも思いますが、中国国籍法では両親が外国に定住し、出生と同時に外国籍を取得した子は、中国国籍は取得しないとする規定が設けられています。

他方、日本の国籍法でも、外国で生まれた子が、日本国籍と同時に外国の国籍も取得したときは,出生の日から3か月以内に,出生の届出とともに日本国籍を留保する意思表示(国籍留保の届出)をしなければ、その子は、出生の時にさかのぼって日本国籍を失うとされています。

つまり、日本で出産した場合は、日本国籍を取得し、中国で出産した場合は、中国国籍を取得し、国籍留保の届出をした場合に限り、日本国籍と中国国籍の二重国籍になることになります。

しかし、これは婚姻中の男女の間に生まれた子の話です。
日本人男性との婚外子が日本国籍を取得するのは、以下の2つの場合に限られています。
①母親の胎内にいる間に日本人の父が認知した場合(胎児認知)は、出生と同時に日本国籍を取得する。
②出生後に認知した場合は、一定の要件のもと法務大臣に届出をすることで、届出の時に日本国籍を取得する。

今回のケースでは、日本人男性である被相続人は、中国人女性の胎内にいる間に認知をしており(胎児認知)、中国で出生し、日本川に出生の届出とともに国籍留保の届出もなされていることから、認知された未成年の子は、日本国籍と中国国籍の二重国籍になっています。

そのため、日本の戸籍も存在し、戸籍の母親欄に中国人女性の名前があること、中国人女性は日本に住民票があり、その住民票の世帯主は中国人女性で、認知された未成年の子も同一世帯で、世帯主との続柄欄に子と記載されていることから、中国で出生公証書を取得するまでもなく、日本で取得できる戸籍と住民票で、中国人女性が認知された未成年の子の親権者(法定代理人)であることを証明することができます。

そこで、相続登記の申請に際し、親権者であることを証明する書面として、世帯全員が記載された住民票と、未成年の子の戸籍謄本に加え、中国人女性が認知された未成年の子の母親であることに相違ない旨の上申書(相続人全員が署名押印)を添えて申請をしたところ、相続登記は問題なく完了し、手続きを終了しました。


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