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相続した会社の解決事例

10数年前に相続した有限会社を株式会社に変更したいケース

相談内容

会社を相続された依頼者のAさんは、とりあえず役員の変更だけを行い、以後、会社の登記を変更することがないまま10数年が経過しました。
このたび、飲食店業を新たに行いたいと考え、それに伴い有限会社を株式会社へ組織変更をしたいと相談を受けました。


特例有限会社

2006年の新会社法施行に伴い、有限会社という会社形態は廃止されたため、新たに有限会社を設立することはできませんが、施行前から設立していた有限会社は、施行後も、有限会社を名乗りながら、株式会社として存続することができるとされています。このような会社を「特例有限会社」といいます。

特例有限会社は通常の株式会社と比べて、下記のようなメリットがあります。
①役員変更登記をしなくていい
株式会社の取締役の任期は原則として2年で、任期ごとに役員変更登記をしなければ懈怠による過料が課せられますが、特例有限会社の場合は原則として役員の任期がなく、任期ごとの変更登記は不要となります。

②決算公告の義務はない
株式会社は決算公告をする義務があり、これを怠れば過料が課せられますが、特例有限会社には決算公告の義務はありません。

逆に特例有限会社から株式会社へ移行するメリットとしては
①社会的信用性があがる(イメージアップ)

②柔軟な機関設計が可能となる
特例会社では、株主総会と取締役、監査役(業務権限は会計監査に限られる)しか置くことができませんが、株式会社に移行すれば、会社の実情に応じて会見参与や会計監査人なども置くことができるようになります。

③株主間の株式の譲渡を制限できる
特例有限会社では、「当会社の株式を譲渡により取得することについて当会社の承認を要する」 「当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得する場合は、当会社が承認をしたものとみなす」と定款に定められているものとみなすとされています。
そのため特例有限会社では、株主間の株式譲渡については制限を設けることはできませんが、株式会社に移行すれば、第3者との間だけでなく、株主間の株式譲渡についても会社の承認を要求するなど制限を設けることができるようになります。

今回のケース
今回のケースでは、有限会社から株式会社への商号変更だけでなく、会社の目的と役員変更、そして本店移転も行うことになりました。

注意すべき点としては、本店移転と有限会社から株式会社への商号変更は1件の登記で申請することができないということ。

新たに設立される株式会社の登記簿には、以前の有限会社の商号と、有限会社から株式会社へ商号を変更したことは記載されますが、本店を移転したことは記載されません。
そのため、現在の株式会社の登記簿にそのまま移転した本店が記載されてしまうと、以前の有限会社と、現在の株式会社との間に、登記簿上、連続性が保たれなくなるからです。

そこで、まず有限会社のまま本店を移転し、その後有限会社から株式会社への商号変更による移行の登記を行うことになります。
※株式会社へ移行してから、本店を移転することもできますが、株式会社の登記簿に本店移転の履歴が記載されてしまうことになるので、登記簿上の見栄えを考え、本店移転後、移行登記をすることにしました。
有限会社から株式会社への商号変更による移行の登記
移行の登記は、「有限会社の解散の登記」と「株式会社の設立の登記」を同時に申請します。

設立登記では、商号変更(今回のケースでは全く違う商号にしました)だけでなく、目的変更、そして役員変更も同時に行いました。

なお、役員ですが、有限会社の取締役のうち選任後の期間が、株式会社の定款に定めた任期の期間内であれば、変更登記は必要ありませんが、今回のケースのように定款に定めた任期(10年)の期間を超えている場合は、商号変更により役員の任期は満了により退任するため、新たに役員の変更登記が必要となります。

今回初めて知ったのですが、移行による設立の年月日は、通常の設立登記のように申請日ではなく、株主総会で商号変更の決議をした日になるそうです。
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