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相続登記の解決事例

相続人の一人が海外に在住していたケース

相談内容

アメリカ在住の方から、帰国期間中に相続手続きをしてほしいと依頼を受けました。

印鑑証明書がない

依頼者のAさんはアメリカに在住しており、帰国している間に、昨年お亡くなりになられたお父さん名義の不動産や預貯金の相続手続きをしてほしいと依頼を受けました。

相続人は妻Cさん、長女Aさん、長男Bさんの3名で、昨年、相続税の申告のために、すでに遺産分割協議書や法定相続情報を作成されていました。

ただ、作成された遺産分割協議書には、不動産の所在地しか記載されておらず、当該不動産は妻Cさんとの共有名義であったにもかかわらず持分の記載はなく、附属建物(物置)の記載もなかったため、相続登記の申請に使用することができず、再度、遺産分割協議書を作成しなおす必要がありました。

ここで問題となるのが、依頼者Aさんは日本に住民登録をしていないため、印鑑証明書の発行を受けることができないことです。

印鑑証明書は何故必要か?
相続手続きにおいて印鑑証明書は、遺産分割協議書に添付することにより、当該遺産分割協議が真正に成立したことを示す書面として不可欠です。

遺産分割協議書に印鑑証明書を添付する必要があるということは、遺産分割協議書に押印される印鑑は実印でなければならないことを意味します。

遺産分割協議に実印を押印することで、本人の意思に基づいて作成されたものであること、つまり遺産分割協議書の真正を証明することになるのです。

そのため、印鑑証明書は、遺産分割協議書に押印された印鑑の印影が、印鑑証明書に印刷されている印影と一致することをもって、遺産分割協議書が本人の意思に基づいて作成されたものであること、および、それによって遺産分割協議が真正に成立したことを担保するためのものなのです。

遺産分割協議書の真正は、「実印+印鑑証明書」によって担保されることになりますが、これに限定されるわけではありません。「署名+署名証明書(サイン証明書)」、あるいは「拇印+拇印証明書(サイン証明書)」によっても証明することはできます。


サイン証明書とは?
サイン証明書は「このサイン(もしくは拇印)は本人がしたもの(本人のもの)に間違いない」ことを証明する書面のことで、正式名称は「署名(及び拇印)証明書」といいます。
サイン証明は、外国籍の方の場合は現地の公証人、日本国籍の場合は、居住地にあるに日本大使館・日本領事館(在外公館)の領事の面前で署名ないしは拇印を押印することにより発行してもらうことができます。つまり、証明ができるのは、公証人や領事といった公正中立な立場にある者に限定されており、誰もが好き勝手に証明を行うことができるわけではないのです。というのも他人が勝手に本人になりすまして署名ないしは拇印をし、これを他人が証明することで足りるとすれば、文書の真正は担保されないからです。


ところでサイン証明には、大きく①署名や拇印を単独で証明するもの(単独タイプ)と、②署名(拇印)が必要な文書(例えば遺産分割協議書)と証明書を綴り合せて割り印を行うもの(綴り合わせタイプ)の2種類があり、手続きによって求められるタイプが異なります。
一般的に、相続登記の申請に使用する場合は、綴り合せタイプが要求され、他方、金融機関の解約手続きに使用する場合は単独タイプでもよいとされています(例外あり)。

今回のケースでも、相続税の申告時に単独タイプのサイン証明を取得されていましたが、単独タイプでは相続登記の申請が通らない可能性があり、また発行から6か月以上経過していたため、金融機関の手続きでも使用できない可能性がありました(通常、金融機関では6か月ないしは3か月以内の印鑑証明書の提出が要求されるため)。

そこで、新たに作成しなおした遺産分割協議書に綴り合せたサイン証明をし取得する必要がありましたが、依頼者が日本に帰国中のため在外公館での発行は望めません。
このような場合、日本の公証役場でもサイン証明(署名・拇印の認証)を発行してもらうことができます。


日本の公証役場でもサイン証明を取得することができる
今回のケースのように海外在住の方が一時帰国している場合には、日本の公証役場において署名や拇印の認証を行ってもらうことができます。
このとき、必要となるのは、認証を必要とする遺産分割協議書と、認証を必要とする方のパスポートと、海外での住所がわかる在留証明書や運転免許証です。

公証役場では、公証人の面前で持参した遺産分割協議書に依頼者が拇印を押印し、公証人がその拇印が面前で行われたことを認証した書面を、遺産分割協議書に綴り合せて割り印を行ってくれます。

公証人の認証を受けた遺産分割協議書を使用して、依頼者が一時帰国中になんとか金融機関の解約手続きおよび相続登記の申請を行うことができました。

帰国後に、書類の不備などを指摘される可能性も考慮し、依頼者からあらかじめ遺産承継業務についての委任契約を締結し、その後の手続きについては相続人の署名押印ではなく遺産承継業務受任者として私の署名押印で手続きを進められるようにしていたため、依頼者が帰国後、無事に全ての業務を終了させることができました。


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